CLion 2023.2 は PlatformIO の統合の改良、vcpkg のサポート改善、基本的な IDE ユーザーワークフローの一部に必然的に組み込まれた AI Assistant 機能、および低レベル、リモート、および組み込みデバッグのエクスペリエンスの改善を提供します。
CLion 2023.2 では AI Assistant 機能が導入され、一部の基本的な IDE ユーザーワークフローに自然に組み込まれています。 この機能により、C と C++ で選択されたコードの説明、そのコード箇所に対するより適切なリファクタリング方法の提案、または潜在的な問題の検出が行われます。 コミットメッセージの生成と CMake エラーの説明にも対応しています。
CLion 2023.2 では現在のフレームのレジスターを検査する機能が導入され、低レベルのデバッグがより簡単になりました。 逆アセンブリビューではレジスターを直接インラインで確認できます。 Attach to Process(プロセスに接続)ダイアログの大幅な更新により、リモートおよび WSL プロセスへの接続が可能になっています。
PlatformIO は組み込み開発者のプロジェクトを支援するオープンソースプラットフォームです。 CLion 2023.2 はこのプラットフォームとネイティブに統合されています。 IDE が platformio.ini ファイルを直接処理し、その変更を追跡して随時プロジェクト情報を更新します。
IntelliJ ベース IDE と .NET ツールの新バージョンである 2023.2 には、重要な新機能である AI Assistant が搭載されています。 AI Assistant は開発の早期段階にある機能ではありますが、基本的な IDE のユーザーワークフローに組み込み、コードを理解する大規模な AI 機能を統合するという私たちのアプローチを試すことができます。 詳細はウェブヘルプをご覧ください。
AI Assistant は現時点では JetBrains IDE の安定版リリースにバンドルされていませんが、個別のプラグインとしてインストールできます。 当面の間、AI Assistant 機能を利用するには順番待ちリストに登録する必要があります。
AI Assistant はプログラミングのトピックを専門としており、プロジェクト固有の場面で役に立ちます。 新しい専用のツールウィンドウで繰り返し作業を行い、満足のいく結果を得られたら、Insert Snippet at Caret(キャレット位置にスニペットを挿入)を使用して AI が生成したコードをエディターに配置するか、手動でコピーできます。
エディター内の特定コード箇所を選択し、AI Actions...(AI アクション...)コンテキストメニューからアクションを呼び出せます。
AI Assistant は以下について支援できます。
AI Assistant に変更内容の説明を手助けしてもらいましょう。 コミットメッセージダイアログで Generate Commit Message with AI Assistant(AI Assistant でコミットメッセージを生成)ボタンをクリックすると、変更の差分が LLM に送信され、変更内容を説明するコミットメッセージが生成されます。
プロジェクトで CMake の実行に失敗した場合、CMake ツールウィンドウの Explain with AI(AI で説明)をクリックすると、失敗した内容とその修正方法について詳しく確認できます。
Attach to Process(プロセスに接続)ダイアログを使用すると、ローカルかリモートかを問わず、CLion の外部で起動されたプロセスをデバッグできるだけでなく、IDE のデバッガー統合機能を利用することもできます。
バージョン 2023.2 以降では以下について可能です。
現在のフレームのレジスターを検査する機能を使用できる場合、低レベルのデバッグをより簡単に行えるようになりました。 CLion がデバッガーツールウィンドウの Variables(変数)タブにレジスター値を表示するようになりました。
CLion が ARM アセンブリ言語のサポートを開始し、ARM アセンブラーのコードハイライトを逆アセンブリビューで確認できるようになりました。
逆アセンブリコードをデバッグする際、CLion の逆アセンブリビューでレジスター値をインライン表示できるようになりました。
デバッガー関連のその他の改善
PlatformIO は組み込み開発者のプロジェクトを支援するオープンソースプラットフォームです。 CLion 2023.2 では介在する CMake のレベルが PlatformIO との統合から削除されました。 IDE が platformio.ini ファイルを直接処理し、その変更を追跡して随時プロジェクト情報を更新するようになっています。
PlatformIO プラグインのインストール手順、新規プロジェクトの作成手順、または既存プロジェクトを開く手順については、ウェブヘルプをご覧ください。
一部の pio
コマンドを IDE から直接呼び出せるようになりました(Tools(ツール)| PlatformIO)。ターミナルへの切り替えは不要です。 このコマンドには、プロジェクトの再読み込み、プロジェクトでの静的コード解析の実行、デバイスモニターの起動などが含まれます。
PlatformIO ツールウィンドウでは最も使用頻度の高いコマンドとプロジェクトのアクションに素早くアクセスできます。
その他の改善:
CLion が Segger J-Link GDB サーバーで正しくデバッグできるよう、通常の SIGINT
および SIGSTOP
シグナルに加えて SIGTRAP
も処理できるようにしました。
プロジェクトの依存関係と外部ライブラリを管理しやすくするため、CLion に C/C++ のパッケージマネージャーである vcpkg が統合されました。 バージョン 2023.2 ではこの統合に大幅な更新が加えられており、サポートされるシナリオの数が増えています。
vcpkg の操作にはクラシックモードとマニフェストモードの 2 種類があります。 CLion UI ではこれらのモードを明確に区別し、専用のボタンを使ってマニフェストモードに簡単に切り替えられるようになりました。
vcpkg のクラシックモードの利便性を高めるため、vcpkg ツールウィンドウにすべてのコマンドと出力を表示する Console(コンソール)タブが追加されました。
CLion 2023.2 では、新しいファイルを追加できる CMake ターゲットがない場合に使用する新しい C/C++ ファイルの作成ダイアログが改善されています。 新しい Add new target...(新しいターゲットの追加...)アクションは、新しいターゲットを作成し、それを選択した CMakeLists.txt ファイルに追加します。 ターゲットを追加したら、新しいファイルをそれに追加できます。
CLion 2023.2 では、CMake 3.25 の新しいパラメーターと、リクエストされた範囲のコマンドグループの実行に使用される新しいブロックコマンドに対応したハイライトと補完機能が追加されています。 CLion で新しいコマンドのハイライト、整形、折りたたみ、および文書化が正しく行われるようになっています。
CLion 2023.2 には CMake 3.26 がバンドルされています。
Parameter Info(パラメーター情報)ポップアップではユーザーが入力中にシグネチャーの variant が表示されますが、この機能が CMake コマンドにも対応しました。 複数の variant を持つコマンドなどで次に入力すべきパラメーターを知るのに役立ちます。
プロジェクトに Linux ベース環境の Docker ファイルが含まれており、その中で Windows マシンからアプリケーションを開発する場合、CLion で WSL と Docker を使ってそれをセットアップできます。
Terminal emulation in the output console(出力コンソールでターミナルをエミュレートする)を構成ごとに有効化または無効化できるようになりました。 デフォルトでは無効になっており、それを制御する設定が Advanced Settings(高度な設定)セクションから Run Configuration(実行構成)セクションに移動されています。
Windows では、通常の権限と管理者権限のどちらでも MSVC LLDB ベースのデバッグで動作するようになりました。
バージョン 2023.2 では代替の Light with Light Header(ライトヘッダーを使ったライト)オプションが導入されたため、ユーザーエクスペリエンスが向上しています。このテーマではウィンドウのヘッダー、ツールチップ、および通知バルーンで対応する明るい色が使用されます。
複数の実行構成を管理しやすくするため、Run(実行)ウィジェットにお好みの構成をピン留めできるオプションを実装しました。
新しい UI を使って macOS の全画面表示モードで作業する場合、以前のようなフローティングバーではなくメインツールバーにウィンドウコントロールが直接表示されるようになりました。
Linux ユーザーの利便性を考慮し、オペレーティングシステムのネイティブヘッダーが新しい UI から削除されました。その結果、よりすっきりとしたインターフェースになっています。 デフォルトではカスタムの IDE ヘッダーが表示されるようになっていますが、ユーザーのワークスペースに合わせてカスタマイズできるオプションが豊富に提供されています。
CLion では開いている複数のプロジェクト間を簡単に移動できるように色付きのヘッダーが導入されています。 プロジェクトごとに固有の色とアイコンを割り当てられるようになっているため、ワークスペース内のプロジェクトがより区別しやすくなりました。
新しい UI のメインツールバーのカスタマイズオプションを拡張しました。 ドロップダウンメニューを使用して必要なアクションを素早く選択し、このツールバーに追加できるようになっています。 これを行うには任意のウィジェットで右クリックして Add to Main Toolbar(メインツールバーに追加)を選択し、使用できるオプションを参照します。